団体概要・趣旨

 「ふりー! すくーりんぐ(自由な+まなびの+輪)」は、関西発のさまざまな生き方・学び方を提供している団体のゆるやかなネットワークです。

 加入団体はフリースクール、オルタナティブスクール、ホームスクーリング、親の会、中間支援団体など様々です。このような活動に興味を持つ個人の方でも加入していただけます。

 メーリングリストでの情報交換がそのネットワーク活動の一番の根幹で、その中で以下のようなことをおこなっていっています。

  ・イベントの共有(他団体のイベントに参加させてもらったり、合同開催など)
  ・情報のやりとり(ノウハウの教えあいや相談など)
  ・物の融通(あげます、ください、貸し借りなど)
  ・人材の融通(スタッフやボランティアの出張など)
  ・イベントの実施(一般参加フォーラムや音楽イベントを開くなど)
  ・研修の共有(合同で研修を行うなど)
  ・月例交流会(加入団体の場所をお借りして食事を一緒に交流を)
  ・ホームページやSNSでの発信(団体紹介や予定の紹介など)
  ・運営会議と総会(活動の調整や今後の活動についての話し合いなど)

 また、必要に応じてプロジェクトを希望者で立ち上げ、企画を進行させていくことも。

 これらの活動を通じて、さまざまな生き方・学び方が社会に認められるようになっていけば……と思います。


「ふりー!すくーりんぐ」に関する基本情報
設立2004年9月
事務局〒545-0011 大阪市阿倍野区昭和町2-7-2
(フリースクール ラヴニール 内)
連絡先電話 06-7181-5549(Faxも同じ)
加入団体(者)数正会員10団体 準会員18団体(うち、個人5) 協力団体2
対象エリア兵庫・大阪・京都・奈良を中心とした関西圏



「ふりー! すくーりんぐ」について

 普段から「ふりー! すくーりんぐ」の様々な活動にも参加して下さっており、「多様な学びを提供する団体間のネットワーク」について研究されている大阪大学大学院人間科学研究科助教の藤根雅之さんが、「ふりー! すくーりんぐ」について書いて下さいました。

 「ふりー! すくーりんぐ」のようなネットワークは、これからの社会において非常に重要な意義を持っているのではないかと思います。この取り組みが社会にとってますます有益なものとなるように、取り組んでいきたいと考えています。


ネットワークという市民の力

 「弱い紐帯(ちゅうたい)の強み」という言葉があります。ここでいう紐帯とは人と人との間の関係のことです。転職する時に人づてに新しい仕事の情報を集める場合,親族や親しい友人といった「強い紐帯」よりも,前の職場の同僚などといった「弱い紐帯」を利用した方が,有利な情報を得ることができるということが明らかにされています。つまり,親密な人間関係よりもある程度ゆるやかな関係の方が,様々な情報や資源を駆使する上で有用だと言われています(Granovetter 1973=2006)。

 ふりー!すくーりんぐはまさにその「弱い紐帯」です。ネットワークとして確固たるイデオロギーを掲げたりはしません。それぞれの団体の実践や掲げる理念は多様です。つながっているけど一つにはまとまらない,そんな形をとっています。そのような「弱い紐帯」であるからこそ,それぞれの団体ではまかないきれない情報や人材などの様々な資源を必要な時に融通し合ったり,連携して大きなイベント等を行うことが可能になります。

 「弱い紐帯の強み」は,それだけではないと私は考えます。様々な価値観・ミッションを持つ多様な組織が出会うことを通じて,それぞれの団体が自身の活動を省察的に振り返ることができます。「教育」という活動は,ともすれば一つの価値観に囚われてしまう危険性をはらんでいます。しかし,自分たちとは違う価値観・ミッションを持つ多様な団体と出会うことで,自身の組織の価値観・ミッションを相対化することが可能になります。このことは,いわゆる普通の学校から離れた様々な子ども達・若者達と関わるという上で必要なことではないでしょうか(藤根 2015)。

 多様な団体をつなぐことで,資源を動員し合いより充実した活動を展開することが可能になり,それだけでなくそれぞれの団体が自身の活動を省察的に捉え直すことができる,ネットワークの持つ「強み」はそのようなところにあるのではないかと思います。それは,政府や行政,営利企業では担うことのできない市民による強み,つまり「市民的公共性」なのではないでしょうか。

参考文献
Granovetter, Mark S. 1973=2006, 大岡栄美訳「弱い紐帯の強さ」野沢慎司編『リーディングスネットワーク論 家族・コミュニティ・社会関係資本』勁草書房, pp123−154.
藤根雅之 2015 「オルタナティブスクールの組織間ネットワークと市民的公共性」『社会教育学研究』第51巻第2号, pp.45-54.


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